やめてほしい行動をやめさせた話

家族心理

自分にとって迷惑でやめてほしい行動は、どうすればやめさせることができるのでしょうか。方法は7つあります。そのうちの「消去法」と「他行動法」について、一例を挙げて説明します。

 私の母は病弱になって何年も前から老人ホームに入っていた。その母からの電話が私にとっては厄介の種だった。話題はたいてい痛いとか、寂しいとか、お金がないということで、私にはどうすることもできない問題ばかりだった。

愚痴を言っているうちに、母は決まって泣き出し、そのうち涙は私への非難に変わった。非難されると私は腹が立ってくるし、不愉快になるので、母との電話は避けるようになった。

 あるとき、母からの電話を避けるだけではなく、もっとよい方法があるのではないかと思って、「消去法」を使ってみることにした。

母の愚痴と涙が始まったら「ああ」とか「へぇ」と相づちをうって、意図的に「消去」しようとしてみたのだ。電話を切るわけでも、反論するわけでもなく、同じ相づちを繰り返すだけにした。

そして、不平以外のすべての話題、例えば老人ホーム内の出来事や天候、友人の話題などにはすべて熱心に応答した。(他行動法)

 すると、自分でも驚いたことに二十年来の悩みがたった2ヶ月ほどで解決したのである。毎週の電話口での愚痴と涙が楽しいおしゃべりと笑いに変わった。母は若い頃のような魅力的でウィットに富んだ女性に戻ったのである。以後、母が亡くなるまで会話を楽しむことができた。

 これは、やって欲しくない行動以外のすべてを強化した例です。ちょっとのコツで元の親子関係に戻れることもあるのです。

参考:『うまくやるための強化の原理』カレン・プライア著、河嶋孝, 杉山尚子訳、二瓶社 , 1998.6

コメント